
実家に、確実に15年は使われていないカンナが2丁眠っていました。刃はサビついて、台もガタガタ。なにより、昔使っていた祖父や父が、正しいカンナの使い方を知らずに使っていた様子。ポリテクの先生に見てもらうと、直せばまだまだ使えるとのこと。せっかく勉強しているんだし、がんばって直してみることにしました。
※リアルタイムで直していたときは日付の新しいのを上にしていましたが、終了したので日付どおり並べ替えました。(1999年の記事です)
10/27up
10月23日現在の状態
手前が長さ8寸カンナ、奥が9寸。幅は両方とも2寸。
刃はサビてかなり「使っていなかったぞ〜」という感じが出ている。台は逆に「昔使ってたぞ」という感じ。
学校から借りている、今使っているカンナ。
刃はもちろんサビもなく、台もきれいに使っている。
ぱっと見比べただけでなく、細かいところを調べる。

台頭(だいがしら)の両角を叩いて刃をはずす。真ん中は台が割れる危険性があるので叩いてはだめ。
刃の状態を見てみる。
こんな状態。刃先はゆがみまくりでガタガタ。
これは借りているカンナ。きれい。
ちなみに大きいほうは削る方。身(み)。小さいほうは押さえの裏金(うらがね)。裏座とも。
刃も悪いが、その前に台も悪いので、まずは台から直すことに。
カンナ復活その一 台直し@
裏側。下端面(したばづら)と言う。
この面の仕上がりが、カンナにとって重要。真っ平らではいけない。
が、しかし、あまりにも凹凸があるので(1mmくらい)まずは真っ平らにする。
カンナの面直し台、というのを借りて、死ぬほどこすってやっているが、まだまだかかりそう・・・。
以下次号。
11/2up
カンナの裏面(下端)をこすって、真っ平らにしようとしているのだが、なかなか・・・。
専用の面直し台、というのを借りている
11/11up
下端は、なんとか平らになった。これからは、調整である。
台直しA

上は、カンナを裏向けて横から見た図。
左の荒カンナ、荒仕工(あらしこ。以下、荒仕工と呼ぶ)と、右の仕上げカンナ、上仕工(じょうしこ。以下、上仕工と呼ぶ)は、調整の仕方が似ている。
イとロは、同じ高さで、二点支持となる。ハは、わずかに低い。
だから、一つのカンナで刃の出し具合を調節して、両方に用いることができる。
中仕上げカンナ、中仕工(ちゅうしこ。以下、中仕工と呼ぶ)はイ、ロ、ニが同じ高さの三点支持。ハがわずかに低い。
本当に、0.1mmとか0.2mmという、わずかな調整が必要なのだ。刃だけでなく、これがカンナにとって重要なポイント。
さて、私は長いほうのカンナを中仕工に、短いほうを荒仕工兼上仕工にすることにした。
次にすることは、そのわずかなくぼみや斜面を、台直しカンナで削ることである。
台直しカンナ。普通のものより刃が垂直に近い
これもまた、時間がかかりそうだ。
11/15up
中仕工は、だいたい削れた。それにしても、台直しカンナは持ちにくいのですぐに手が痛くなる。

こんな行儀の悪い体勢でやらなければならない。疲れる。
11/25up
さて、やっと二つのカンナの台直しができた。サンドペーパーで仕上げ、手触りもよい。微妙なくぼみや斜面は、先生から「なかなかいいです」とOKが。
これからは、いよいよ刃の研ぎに入る。
11/29up
カンナ復活その二 刃@サビ落とし
まず、刃のサビ(赤サビ)を落とす。全体にひどくついている。最初は、手でペーパーをかけることも考えたが、道具を使うことに。写真がとれなかったので、その道具の説明は非常に難しい・・・。しかも絵に描こうとすると、ますますわからなくなるのでやめておく。エアー圧で、ペーパーを取り付けた部分が偏心で高速回転するので、それをサビた部分に当ててこすり取るのだ。要するにサンダーなのだが・・・説明するとよくわからない謎の道具だ・・・。
カンナ2丁分の、赤サビはだいたい取れた。
11/30up
刃A 裏押し
まず、カンナの刃裏(平らな方)の裏押し作業から。
金砥(かなと。金属製の砥石)を用意し、金剛砂(こんごうしゃ。金属製の粒)をひとつまみまく。

水を数滴たらして、金剛砂を刃裏で押しながら、じゃりじゃりといわなくなるまですりつぶす。
押し棒で刃を押さえて、前後に動かして研ぐ。

刃の裏は「平らな方」と書いたが、これも真っ平らではない。刃先と横の方が平らで、中のほうはくぼんでいる。
これから平ら部分を鏡面、つまり鏡のように顔がうつるくらいピカピカに磨き上げるのだ。

(参考)出来あがっているカンナ刃裏
今の刃は、こんな状態なんだが・・・。いったい、いつ・・・。
12/3up
ひとつ、裏の状態がべた裏という、平らの部分が広がる悪い状態になっていることがわかった。

これを直すために裏打ちをしなければならない。これは私のような素人ではできないので、先生にやってもらった。また写真を撮り損ねたので、教科書から抜粋。

刃の表から叩くので、割れる危険もあるし手も危ない。で、やってもらったが、当然のごとく刃を叩いた部分は玄能の傷だらけである。
先生「あのね、これ(裏打ち)やると、こんなに傷だらけになるから、泣く人がいるんですよ」
私 「・・・泣くんですか?」
先生「・・・いえ、本当には泣かないですけど・・・」
要するに、傷だらけになるので刃を研ぐのが大変になって、えーーーーーーっ!!!という気持ちになるらしい。それを先生はオーバーに言ってみせたのだが、私があまりにも冷静に真顔で返したので、悲しくなったのかもしれない。「え〜〜〜〜〜〜っ!! いやーーーーん、傷だらけーーーー!!」というリアクションを期待していたのだろう。
裏打ちができて、また裏押し作業に戻った。今度は調子いい。鏡面までもう少し。
12/7up
なんとか鏡面まで磨けた。自分の顔も、髪の毛も見えたのでいいだろう。
刃B 表の研ぎ
まずは、砥石を水につけることから始まる。水分を含ませるのだ。
砥石だが、普通は中砥(なかと。中仕上げ用)からでいいが、私のは刃が欠けていたり、少し丸くなっていたり、裏打ちしたときの傷があるので、荒砥(あらと)から。思いきって、欠けや丸みがなくなるまで、刃先をつぶす覚悟で。
欠けと丸みがなくなり、傷がだいたい落ちたところで、中砥に変える。ここからが、最後の勝負。(と私は思っている)
刃先の角度に気をつけて、その25度から30度を保ったまま、力を入れて押し、少し力を抜いて引く。この角度の固定が、集中ポイント。わずかな揺れも、歪みも刃に出るのだ。

12/8up
ひたすら研ぐこと。それが使命。(・・・なんのこっちゃ)
中砥での研ぎ
研いで研いで研いで・・・何十分たったか。。ときどき、刃裏の先をさわって確かめる。刃返りが出るまで、延々と研ぐ。
刃返りが出たら、いよいよ仕上げ砥の出番だ。
仕上げ砥
まずは刃裏の刃返りを取る。それからしのぎ面(今まで研いでいた、表のナナメの部分)を7〜8回、刃裏面を2〜3回研ぎあわせる。
水分をよく拭いて、サビ止めに油を塗って終了!
ちなみに、押さえの小さい刃(裏金、裏座)は私ではできないので先生にやってもらうのだ。
先生のOKが出れば、まずは一丁、上仕工(仕上げカンナ)は終了だ。
12/10up
簡単にはOKは出なかった。が、裏座を研いで調整してくれたのでよかった。
もう一度、中砥から研ぎなおし、仕上げ砥で研ぎあげた。私から見たら終わりだが・・・。
とりあえず、もう一丁にもとりかかった。
12/15up
2丁目のカンナは、もう裏押しできたので、表の研ぎに入っている。なかなか順調である。しかし、休憩時間のほとんどを費やしているので、はっきり言ってしんどい。かなり集中力と力がいるのだ。二の腕に筋肉がつきそうである。
研ぎは、まず砥石自体が真っ平らでないと話にならない。使っているうちに、やはり中央がくぼんでくる砥石。これをこのまま使うと、刃の中央が逆に飛び出してしまう。
砥石を平らにするには、同じく研ぐのだ。ちなみに学校では、砥石研ぎ用に、平らでつるつるになったブロック塀用のブロックを使っている。
だが、私には砥石を研いでいる時間はない。本当は、自分に割り当てられたものがあるのだが・・・いつのまにか無くなっていた。だから、水道のところに置いている15個くらいの各自の砥石の中から、いいのを選んで使っているのだ。ごめんねみんな。
12/17up
いや、刃の研ぎは終わっているのだが。先生に「なかなかいいです」と誉めていただいた。あとは裏金(裏座)。
1丁目と同じく、私にはできないので先生にお願いしているのだが、多忙な先生は時間がないようだ。
・・・できあがるんかなぁ・・・。
12/20up
裏金を、やっと先生に調整してもらった。
ということで、2丁のカンナは仕上がった!
生き返ったカンナ! しかし、まだ使ってみていないのだ。写真も撮り忘れた。うーん、また明日以降。
12/22up
直し始めたころのカンナ(10/27up)と見比べてみよう。
仕上がった9寸カンナ。中仕工
8寸カンナ。荒仕工/上仕工

ためしに削ってみたが、なかなかの切れ味。
刃の出し具合の調整が難しい。実際に削ってみて、上仕工は、もう少し台の一部にペーパーをかけた方がいいか、など若干の問題点は残るが、ほぼ良しとしよう。
1999年、見事に神無月からの復活を果たしたカンナたち! これからは使ってやるぞー!
「神無月からの復活」は、これで終了いたします。ご愛読ありがとうございました。
※ブラウザのバックボタンでお戻りください